前回は → vMix ハンズオン【第5回】
0. 約1ヵ月間更新をサボっていました。
お久しぶりです。(有)オープンスフィアの花山です。2月丸々と本ブログの更新をサボっていました。申し訳ありません。
3月に入って更新の時間が出来たので再び取り組んで行きたいと思います。
今回の投稿は vMix ハンズオンの続きで、「そういえばInput について完全には説明してなかったなー」と思ったので、 悔いの無いようにここらへんで取り上げておきます。
ボリューミーになったので 2 回に分けてお送りします。
1. Input の全容
まず、vMix の Input には、大小合わせて20の種類が用意されています。 これまでの連載で紹介したのは、
名前 | 内容 |
---|---|
Video | 動画ファイル(絵音)。第1回を参照。 |
Camera | キャプチャーボード取り込み(絵音)。第2回を参照。 |
NDI / Desktop Capture | デスクトップ取り込み(絵のみ)とかNDI (*)(絵音)ソースとか。第2回を参照。 |
Image | 静止画素材。PNGの透過も効くのでオーバーレイなどに使用(絵のみ)。第2回を参照。 |
Audio | wav, mp3 や m4a 等の音声ファイル(音のみ)。第3.5回を参照。 |
Audio Input | 音声入力デバイス(音のみ)。第3.5回を参照。 |
Title / XAML | テロップ(タイトルデザイナーで作成する。絵のみ)。第2回を参照。 |
と言ったところです。
上記でもよく使うものは網羅していますが、残りの Input も含めて、全て紹介して行きます。
2. Video
動画ファイルを追加する Input です。
「Windows Media Player」や「映画&テレビ」で再生出来るファイル形式なら追加可能です。例えば mp4 や avi、wmv です。 また、mov, qt(QuickTime)も読み込めます。
「Video contains Alpha Channel」にチェックを入れると、アルファチャンネル(透過)付きの動画を使用出来ます。 avi や QuickTime がアルファ付きの動画をサポートしているかと思います。
「Video is Interlaced」はインタレース形式の動画を読み込む際にチェックを入れてください。
使い方は 第1回を参照の事。
3. DVD
DVD をソースとして追加する Input です。データ DVD ではなく ビデオ DVD です。
今時 ビデオ DVD で素材が渡されることがあるのか?という疑問はありますが、Video と同じように扱えます。
当たり前ですが、市販のビデオ DVD ソフト(映画とかアニメとか)は暗号化されているので、vMix で読み込むことは出来ません。
Windows 8 以降、デフォルト状態では DVD の再生が出来なくなっています。 そのため、DVD を再生するには、Microsoft Store から Windows DVD プレイヤーを購入してインストールする必要があります。
4. List
Video/Audio のプレイリストです。複数の Video と Audio を任意の順番で再生します。
Video/Audio を読み込むだけでなく、m3u 形式のプレイリストを読み込めます。
この Input にある 2 つの難点は、ファイル毎の音量が設定出来ない事と、動画と動画、曲と曲のインターバルを設定出来ない事です。 つまり、リストの中にクソデカ音量のファイルが混ざっていると事故が起こります。 また、前後に余白の無い動画や曲の場合、連続で再生すると不自然な繋がり方になってしまいます。
List を使って安全に連続再生を行いたい場合、エンコードの段階で音量を合わせ、頭とお尻に余白を作っておく必要があります。
逆に、この List を一切使わず、個別にロードした Video/Audio に、第5回で紹介した Trigger の OnCompletion イベントを使って、 順番に Input を再生する自動化を仕込む方法もあります。
プリセットに List を追加すると、下図のような List 編集用の UI が追加されます。
5. Camera
Webcam や、キャプチャーカードから絵音を取り込む為の Input です。 Direct Show に対応したデバイスが使用可能ですが、相性で使えない物も存在します。 vMix 開発により動作を確認済みのキャプチャーデバイス一覧がこちら に有ります。
キャプチャーデバイスからは映像を取り込むのが基本になりますが、音声の取り込みには大きく分けて二通りの種類が有ります。
- 映像にエンベデッドされている(Built in Audio)
- 別の入力デバイスとして入力される
どちらで音声がキャプチャーされるかは、お使いのデバイスに依存するので、付属のマニュアルなどを参照してください (*)・・・としか言えない・・・。
映像が映らない!と言った方は以下の点に注意して設定を見直してください。
- 解像度に、デバイスが対応している物を選んでいるか。尚、ここで指定する解像度はプリセットの解像度と違っていても大丈夫です。
- フレームレートに、デバイスが対応している物を選んでいるか。デバイスによっては 60 fps と 59.94 fps、30 fps と 29.97 fps を明確に区別します。 フレームレートもプリセットと違っていても大丈夫です。
- フレーム形式の i(インタレース) と p(プログレッシブ)を間違ってないか。
- 「Video Format」で Default 以外を選んでいる場合、デバイスが対応している物を選んでいるか。
大抵は Default を選んでおけば大丈夫ですが、RGB に対応しているキャプチャーデバイスはほとんどないと思います。よりデータ伝送帯域が少なくて済む YUY2 (YUV) 等が多いです。
更に、USB 2.0 で接続するものは MJPG(Motion JPEG)を使っていることも有ります。
H264 を使っている物は稀ですが、USB 2.0 接続なのにフルHD 60fps 対応を謳っている物が使用している事が有ります。 - ごく稀に音声チャンネルを適切に選ばないと動画も取り込めないデバイスが有ります。
(*) と言っても大抵そんな詳しいところまで載っていないので、ネットの人柱情報に頼るか、自分で試してみる方が早いかもしれません。
6. NDI / Desktop Capture
NDI(Network Device Interface)は TriCaster でおなじみの NewTek 社が開発するネットワーク映像伝送技術です。 イーサネット接続を使って HDMI や SDI による伝送に近い画質と遅延で絵音を送ることが出来ます。素晴らしいですね。
もちろんその分、使用する帯域は凄まじく、1 本フル HD 映像を送るだけで 100Mbps 前後消費します。ギガビットイーサ接続は必須ですね。
NDI は SDK(ソフトウエア開発キット)が公開されているため、多数の機器やソフトが対応しており、かなり有用な技術と言えます。
6.1. vMix Desktop Capture for NDI
もし NDI 対応製品を持っていなくても、vMix には「vMix Desktop Capture for NDI」というツールが用意されており、 ネットワーク上の任意の PC(Windows 及び Mac) にインストールしてデスクトップの絵音をキャプチャして vMix に転送する事が出来ます。 「vMix Desktop Capture for NDI」は vMix に付属している他、 無料でダウンロード する事も可能です。
使い方は下記の通りです。
Settings を押し設定を確認する。
番号 設定項目 機能 1 Show Cursor マウスカーソルを取り込むか否かを設定する。 2 Audio Source オーディオを取り込まない場合は None を選択し、取り込みたい場合は Loopback(デスクトップ音声)、または任意のオーディオ入力デバイスを選択する。 3 Maximum Frame Rate 最大フレームレートを選択する。フレームレートが高ければ高いほど、より多くの伝送帯域が必要になります。 4 Mnimise on Startup 起動時にタスクトレイに入れる設定。 5 Use GPU Acceleration 強い GPU を搭載している PC なら ON を推奨。 6 Audio Only オーディオのみ(リモートマイクみたいな使い方?)の設定。 OK を押すと、待ち受け状態になります(と、言うか、設定を開かなくても起動時点で既に待ち受け状態です)
vMix 側で「NDI / Desktop Capture」の Input を作成します。 下図の様に NDI を選ぶと、「vMix Desktop Capture for NDI」を起動している PC でキャプチャー可能なディスプレイとウィンドウ一覧が表示されます。 作成時にいくつかのオプションを選べます。
オプション 機能 Low Bandwidth Mode 余り広帯域でない LAN アダプタ(例えば WiFi とか)を使用している場合に使用する、画質を犠牲にして映像を安定させるモード。 Audio Only オーディオのみの設定。 PsF 詳しくないので良くわかりませんでしたが、ドキュメントの説明では「プログレッシブ映像をインタレース形式で送るカメラの場合、チェックするとクオリティが上がるよ」だそうです。ググったら Progressive Segmented Frame の略だそうです。インタレースしかなかった時代にプログレッシブ映像を送る方法で、察するに同じフレームを奇数・偶数に分けて送るのでしょう。 Increase Buffer Size WiFi 等の環境に大きく左右される接続を使用している場合に、通信を安定化させるためにバッファーサイズを増やします。ドキュメントによれば大体 5 フレームくらい送れるそうです。 選択して「OK」で Input 作成完了です。
6.2. Local Desktop Capture
この Input は第2回 でも、コメントビューワーを取り込むために使用しました。 ローカルのデスクトップ映像を取り込むことが出来ます。基本的に映像のみで音声は取り込めません。
取り込み対象指定方法は二通り有り、ディスプレイ全体を取り込む方法と、指定のウィンドウを取り込む方法です。 ウィンドウ取り込みを行うと、ウィンドウがバックグラウンドに行っても、フォアグラウンドにあるのと同様に取り込めるメリットが有ります。
上図の様にアイコンで表示されるので、目的のウィンドウがどれか分かりにくいのですが、 間違っていても後で直ぐ選択しなおせるので、ある程度目星をつけて選んで構いません。
ウィンドウ取り込み API については 4 つの選択肢(厳密に言うと 3 つ)が有ります。
取り込み API | 特徴 |
---|---|
Default | GDI が選択されるようです。 |
GDI | ほとんどの Windows で使用可能。大抵のアプリは取り込めますが、Webブラウザや Microsoft Store で入手出来るアプリは取り込めないようです。Discord とかも取り込めませんでしたので Electron のようなブラウザ的レンダリングエンジン(Chromium)を使っているアプリは駄目なのでしょう。 |
WindowsGraphicCapture | Windows 10 バージョン 1809 以降で使用可能な API で、Web ブラウザを含むほとんど全てのアプリに対応可能です。 |
DWM | デスクトップウインドウマネージャー搭載の Windows 7 以降で使用可能な API で、GDI よりも低負荷で取り込むことが出来ます。対応アプリは GDI と変わりません。 |
尚、ディスプレイ取り込みの場合は、どの API であっても取り込めるようです。 フルスクリーンモードのゲームは vMix では取り込み出来ません。 詳しく検証をしていないですが、Windows10 の最新バージョンをお使いなら、WindowsGraphicCapture を選択しておけば間違いないかなと思います。
取り込み API は一度選択したら、Input を作成しなおさないと変更出来ないので注意してください。
Input を右クリックすると、下図の様に取り込み対象を変更する為のメニューが表示されます。
7. Stream / SRT
SRT を活用したリモート配信システムレシピ でも使用していますが、外部ストリームを Input ソースとして使用出来ます。
使えるプロトコルは、RTSP over UDP, RTSP over TCP, Transport Stream (TS) over UDP, TS over TCP, VLC(*), SRT です。
この中でも筆者は個人的に SRT を使用する事を推奨しており、他の物よりも比較的安定した伝送を行えます。
UDP を使用したものより TCP を使用したプロトコルの方がより安定した伝送が行えますが、遅延が大きくなる傾向があります。 逆に UDP は遅延は少なくなりますが伝送品質が悪くなります。
VLC は、専用の「VLC for vMix」が vMix 公式サイトで配布 されており、別途インストールする事で有効になります。 VLC では RTMP も受信出来るので、ソースの幅が広がる事でしょう。
(*) フリーのビデオプレイヤーソフト「VLC」をフレームサーバーとして vMix に取り込む。VLC が対応しているプロトコルなら受信可能。
8. Instant Replay
最近は一般的になりつつあるインスタントリプレイです。4K 以上のエディション に搭載されています (*)。
Instant Replay は、裏で常に録画を行っておき、オペレーターがリアルタイムでキュー IN ・キュー OUT のポイントを打ち込んでいく事が出来ます。
キューポイントの打ち方は、IN・OUT を個別に打ち込む方法の他、過去 5 秒間・10 秒間・20秒間といった、一定の範囲へ一度に打ち込む方法があります。 コンテンツにもよりますが、ほとんどの場合は後者の方法でリプレイシーンを保存していくことになるでしょう。
取り逃した場合でも、オンエアを続けながら裏でキューポイントを打ち直せます。
リプレイの再生も手軽で、シーンを選んでリプレイ再生ボタンをクリックするだけで、リプレイシーンを差し込めます。
注意としては、常に録画をし続けるために、ある程度のプロセッサリソースと、ディスクの空き容量・書き込み速度が必要になります。 リプレイ用の録画は MPEG2 でエンコードされるので、ビットレートが高めになります。 具体的には、満足行く画質を得る為、大体 50Mbps ~ 100Mbps くらいになります。
Instant Replay を使う為の推奨環境が こちら に掲載されています。
Instant Replay をプリセットに追加すると、下図のように A と B 二つの Input が追加されますが、B はマルチアングルが有効になって初めて使用されるので、 シングルアングルのリプレイでは使いません。
PRO エディションを使用して最大 4 チャンネルまでのマルチアングル録画を行った場合、最大 2 つまでアングルを選択してリプレイ再生することが出来ます。
詳しい使い方は、今後の回で紹介します。
(*) 4K は1チャンネル録画ですが、PRO なら4チャンネルまで同時録画することが出来ます。これによりマルチカメラアングルのインスタントリプレイが実現出来ます。
9. Image Sequence / Stinger
動画の代わりに連番の画像シーケンスを、アニメーションとして再生する Input です。 後の回で説明するスティンガー(トランジション)としても使用可能です。 透過付きの PNG 連番で、ちょっとしたオーバーレイ・アニメーション・エフェクトを出したい時に使います。
同じフォルダに入っている連番画像のうちの一つを選択して開くと、連番のファイル名が自動的に認識され、アニメーションとして読み込まれます。 この時、アニメーションのフレームレートはプリセットの設定が使用されます(重要)。 例えば、1 秒のアニメーションを 60fps で作っていても、30fps のプリセットに読み込むと 2 秒 30fps のアニメーションとして扱われてしまうので注意してください。
尚、mp3 や wav ファイルで用意して連番先頭と同じファイル名にすれば、アニメーションに音声が付きます。
透過付きの動画形式(avi や QuickTime)を使えば Video でも同じことが出来るのは覚えておくべきでしょう。
10. Video Delay
vMix きっての問題児 Input です。機能が中途半端で必要性がいまいち分かりません。
この Input では、Camera Input または Output に対して最大 120 秒の遅延を入れて取り込むことが出来ます。 つまり、最大120秒の遅れた映像を作れます。
これは Instant Replay の様に、裏で常に録画することで実現しています。しかし Instant Replay と違って音声は記録されません。 映像のみです。単純な遅延装置として使う場合は別途 120 秒遅れの音声を作ってやる必要があります。 そして vMix では音声を 20 秒までしか遅延させることが出来ません。
という事で、「ディレイ」として使うには詰みなのですが、どうも本来の用途は違うようです。
実際に想定される用途としては「Instant Replay」の劣化版と言った様な物で、プリセット上の「Save」ボタンを押す事で、過去一定時間の動画を切り出します。
保存後は自動でプリセットに Video または Video の List として追加されます。 切り出した動画をリプレイとしてオンエアするには単に追加された Input をプレイすれば良いという訳です。 要するに、簡易的な Instant Replay として使えるといった具合です。
しかし、何度も言うように 音声は記録されません 。 ・・・まあ、音声が必ずしも必要無いリプレイの場合は使えるかもしれませんね。
尚、「Save」を押して保存された動画は、Documents\vMixStorage
に保存されます。
11. Image
静止画像を追加する Input で、vMix の中で最もよく使われる Input だと思います。 アルファチャンネル付きの画像(PNG 等)も読み込むことが出来、ちゃんと透過されます。
実際の使用シーンは 第2回 をご覧ください。
12. Photos
画像のスライドショウ表示を行う Input です。 画像が入ったフォルダを指定して読み込みます。
自動スライド送り(デフォルトでOFF)、表示順番(シャッフル可能)、表示間隔、トランジション、ループを設定可能です。
単純なスライドショウや、蓋絵のローテーションにも使えますし、Multi View を使ってローテーションバナーにも使えます。
プリセットに追加した Input の右クリックメニューから、「SlideShow Settings」を開くと、読み込まれているスライド一覧からページを選択出来、 スライドショウの設定が行えます。
ループしたい場合は、プリセットの Input 下に設置されている「Loop」をクリックして有効にします。
Input 作成後、フォルダに画像を追加した場合は、右クリックメニューから「Refresh Photos」を実行してください。
13. Power Point
Power Point を直接読みこんで、スライドショウを行います。
vMix にビューワー機能が備わっているわけではなく、コンポーネントとして読み込んでいるだけなので、PC に MS-Office(Power Point)がインストールされている必要があります。
基本的には、メディアファイルが Power Point ファイルになっただけで、使い方は Photos と全く同じです。
14. Colour
黒一色(Blank)や任意の色ベタ、カラーバー、透明(Transparent)を静止画として出します。
Multi View で素材を重ねる際のベースとして、特に Blank を使用することが多いと思います。
カラーバーは色の確認をするのにとても便利ですので、スクショを取ってマイピクチャに入れときましょう。
15. Audio
音声ファイルを追加する Input です。
「第3.5回」で説明していますので、そちらを参照してください!
16. Audio Input
音声入力デバイス(マイク入力等)を追加する Input です。
こちらも「第3.5回」で説明しています。
17. Title / XAML
タイトルテロップを追加する Input です。 vMix のタイトルテロップは、「vMix Title Designer」または「vMix GT Title Designer」を使って作成します。 xaml または gtxml というファイルが定義ファイルになりますので、このファイルを指定して読み込みを行います。
尚、「vMix Title Designer」は全てのエディションに付属していますが、「vMix GT Title Designer」は標準で簡易版の Standard しか付属せず、 自由に作成出来る「vMix GT Designer Advance」が 4K および PRO 向けに提供 されています。
「vMix Title Designer」および「vMix GT Title Designer」の使い方は、長くなるので別の回で説明したいと思いますが、 前者の使い方は 第2回 で説明していますので参照してください。
18. Flash(非推奨)
残念ながら Flash は世の中的に非推奨となってしまったので使用出来ない物と考えたほうが良いです。
めんどくさいので非推奨なので間違っても使われないようにするため、説明は省きます。
19. Virtual Set
vMix きっての面白機能です。3Dでモデリングされた仮想的なスタジオを導入する Input です。 例えば、キャスターデスクとカッコいい背景をモデリングして、その中にクロマキー処理された出演者ワンショットをはめ込むとあら不思議。 ニュース番組っぽい絵が簡単に作れます。
幾つかの画角とアングルを決めておいて、本物のカメラが寄っていく様にシームレスに切り替えられます。 あとは、出演者を差し替えたり、背景を差し替えたり、モニターに映っている映像を差し替えたり・・・と言った事をプリセットからコントロール出来ます。
正直チープなクオリティですが、幾つかサンプルが用意されているので試してみてください。 また、作り込まれた Virtual Set のデータがオンラインで販売 されているようです。
ちゃんとした素材を用意すれば使えると思うのですが、如何せん最初に入っているサンプルがチープすぎて機能自体が過小評価されている気がします。 真面目にこの Input を使って配信の絵作りをしている人は居るのでしょうか?
機会があればネタにしたいと考えています。
20. Web Browser
URL で指定する任意の Web ページを取り込む Input です。
音声も取り込まれますので、YouTube や Twitch を vMix 上で再生する事が可能です。
レンダリングエンジンとしては安心の Chromium が使用されています。 Input 作成時には、ブラウザの解像度とレンダリングエンジンのバージョンを選択します。
注意点としては、このブラウザはサンドボックスとして動作するので、いつも使っているブラウザの設定は反映されませんし、保存もされません。 (サインインが必要な Web サイトの場合、毎回サインインが必要になります)
マウス、キーボードで Input サムネイル・プレビュー内のブラウザを直接操作出来ますし、マウス・キーボードの操作を無効にも出来ます。 ショートカットキーや、右クリックメニューは vMix に操作を奪われてしまう為使えません。
21. Video Call
「Video Call」とは、「vMix CALL」というリモートコラボレーションツールを使用する為の Input です。 新型コロナ蔓延に伴うロックダウン下では大活躍しそうな機能ですね。
要するにリモートから配信に参加出来るという機能です。音声通話だけでなく、必要ならビデオ通話も可能です。
HD エディションは 1 人、4K エディションは 4 人まで、PRO エディションは 8 人までの参加に対応 しています。
Input 1 つにつき 1 人分の絵音を送受信します。4 人なら 4 つ、8 人なら 8 つ必要です。
ZOOM みたいな全員の顔が並ぶマルチビューは用意されていないので、vMix 上で Multi View を駆使し、出演者に返す絵を作らなければなりません。
また、スタジオとリモート間の通話はそれほど難しくないのですが、リモート出演者同士の通話は工夫が必要です。 vMix CALL はリモート出演者同士の通話の面倒を見てくれないので、Bus Output を使って全出演者分の返し音声を作ります。 つまり、話者本人以外の全員の声が乗った返しを、演者の人数分作る必要があります(話者自身の音声が返ってきてしまうと話がしにくいので)
これらの手間と Bus Output の消費を考えると、出演者同士の通話は素直に Discord 等、別のソフトを使った方が楽かもしれません。
参加の方法は、ホスト側で生成される URL を出演者が開くと Web ブラウザから配信に参加することが出来ます。
出演者側が vMix を使っている場合は、「Connect to Call」を選択してホスト側で生成されるパスワードを入力して接続します。
パスワードや URL が分からなくなってしまった場合は、 Input の右クリックメニューから「Open Call Manager」を開けば、vMix CALL のコンソールが表示されるので、 ログを辿って URL とパスワードを入手してください。
vMix CALL は、ビデオ通話について言えば必要十分な低遅延性とクオリティを備えています。 ただし、画質的にゲーム画面などを送るのには向いていないと思います(ブロックノイズが目立ちます)。
ゲーム配信などでリモート配信をしたい場合は SRT を活用したリモート配信システムレシピ「プレイング配信版」 を参考にしてください。
22. Mix
あれ、こんな Input メニューにあったっけ?と思われるかもしれません。 その通り、Input Select のウインドウにはリストされていない Input です。 追加するには、「Add Input」右横の「▲」から「Mix」を選ぶ必要があります。
隠しという訳で無くて単にスペースが無いだけ?かもしれません(Flash を消して空いた所に入れればいいと思うよ!)
Mix は Output とは別に追加のミキサーを作成する Input です。Output がメインミキサーだとするなら、Mix で作るのはサブミキサーとでも呼ぶべき物です。
Output に送る絵音を更にサブミキサーでスイッチングします。
さてこの Mix は 第4回 の Shortcut でも登場しました。 要するに Shortcut や Trigger で設定する Mix とはこの Input の事を指しています。 正確には Mix 1 はメインミキサーの Output ですから、 Mix 2 ~ Mix 4 がサブミキサーとなります。
使い道は・・・サブスイッチャーさんが Web Controller でスイッチングするのに使うというのが有り得ますね。 なんか使えそうな気がしてきました。
23. 今回はここまで
ちょっと駆け足気味でしたが、vMix に搭載された全ての Input を紹介しました。 幾つかの Input は将来の回で詳しく掘り下げたいと考えています。
次回は、 Input Settings の全容について紹介したいと思います。
それではまた!
次回は → vMix ハンズオン【第7回】