vMix ハンズオン【第4回】「Shortcut と外部コントローラーについて」

前回は → vMix ハンズオン【第3.5回】

vMix 公式サイトはこちら

1. vMixはマウスでオペレーションするな

今回は、「如何に vMix をオペレーションするか」という事をテーマにしていきたいと思います。 最終的な目標は「vMix の仕組みを知らなくても本番のオペレーションができる」です。

vMix は比較的複雑なソフトに分類されると思いますが、その割に「リアルタイムでミスなく操作することを要求される」ソフトです。 つまり、本番時にオペレーターが行う作業は「ライブパフォーマンス」に近い (*1) と言えます。

しかし、vMix は Windows アプリケーションで、UI設計が「デスクトップアプリケーション」そのものなので 、基本的に「マウス」で操作すると思います。 マウス操作はいくつかの点で「リアルタイムでミスなく操作する」事に向いていません。

  1. 一度に操作できるのは 1 か所まで
  2. ウインドウが前面に無いと操作できない
  3. クリックするボタンが小さい。ボタンとボタンの間が近接しすぎている
  4. ドラッグ操作の精度が悪い(素早く細かなフェーダー操作ができない)
  5. 画面を注視しないと正確な操作ができない

「そんなことない!俺の神エイムを以てすれば可能だ!」と言われても、マウスでは物理的に 1 はクリアできませんし、2 が出来ないのはアプリの仕様です。

仕込み作業はもちろんマウスで十分でしょうが、本番のオペレーションをマウスでやるのは、 Input 数が増えれば増えるほど・進行が複雑になればなる程無理ゲーになっていきます。

また、本番時に vMix の全ての機能が操作できる状態と言うのは、余計な操作をしてしまう事故の可能性を生じさせます。 (それを見越して vMix には「Lock (*2) 」という機能が用意されています)

という事で表題に戻りますが「vMixは (本番中に)マウスでオペレーションするな」という事です。 ショートカット(Shortcut)を駆使して、本番中に極力マウスを触らなくて良い様に仕込みましょう。


(*1) そこまで高度ではないですが、似たような状況という意味で。

(*2) vMix ウインドウ右下の「🔓」アイコン。

2. Shortcut の設定

2.1. 準備

第3.5回でも少し説明した Shortcut の設定について、改めて詳細を見ていきたいと思います。

Shortcut では、キーボードや外部コントローラー・ Web Controller に vMix の各種機能を割り当てることが出来、ワンタッチ(死語)で呼び出すことが出来ます。 このうち、「キーボード」に割り当てた Shortcut は vMix のウインドウがアクティブな場合に反応します。

vMix において、Shortcut で実行できる機能(Function と呼ばれる)は、かなりの数が用意されており、大抵の事は出来ると思います。 Function にどの様な物が有るのかは、こちらのリスト(英語)を参照してください。

それではまず準備として、適当な Video を 3 つほど Input に追加してください (追加方法は、第1回第2回 を参照の事) また、オーバーレイ(Overlay) (*) として使用する PNG 画像を 1 つ追加してください。Overlay については後ほど説明します。 追加したプリセットが此方になります。


(*) ネームタグやテロップ(スーパーインポーズ)等、画面の上に合成表示するCGの事。

2.2. Shortcut の作成(Video)

それではこれら 4 つの Input を、Shortcut でポチポチ切り替えられるようにしましょう。 今回は、F1, F2, F3, ... と言ったファンクションキーに Shortcut を割り当てる事とします。

初めに 3 つの Video を切り替える Shortcut を作ります。 「Settings」→「Shortcuts」、または vMix ウインドウの右下にある「田」ボタン→「Edit」を開いてください。

更に、「Add」を押して Shortcut 新規作成画面を開きます。

「Key/Control」で割り当てたいキーを選択します。プルダウンメニューから探してもいいのですが、「Find...」を押して、 割り当てたいキーを押下すれば素早く選択できます。 ここでは、「F1」キーを選択してください。 尚、vMixの Shortcut では同時押し複合キー(Shift+F1 や Ctrl+F1 等)は設定できません。 Advanced で出来そうに見えますが、実際に設定してもなぜか効かないです(バグかも?)。

次に、Shortcut で使用する「Function(vMixの機能)」を選択します。 膨大な数有るのですが、今回は Input を Output に Fade In で送る Shortcut を作るものとします。 プルダウンメニューから「Transition」→「Fade」を選択してください。

「Transition」を使う場合は、「Duration」に切り替え時間をミリ秒で指定してください。今回は 1000ms(1秒)とします。

また、「Input」で、Shortcut の対象としたい Input を選択してください。ここでは1番の Video を選択します。

その下の「Assign Shortcut to Input Number」は、この Shortcut の対象を、Input そのものではなく Input の番号にする場合にチェックします。 チェックしない場合は、選択した Input そのものを対象とします。

Input は順番の入れ替えが出来る

Input のタイトルバーをドラッグすると、順番を入れ替えられます。 Input の番号は、常に並びの先頭から順に1番・2番・3番・・・と割り当てられますから、Input の番号が変わる事が有ります。 「Assign Shortcut to Input Number」は、常に 1 番にある Input を特別扱いするような用途に使います。

更に下の「Mix」は、「Input の送り先をどの Mix にするか」という設定ですが、Mix って何?と言う所から説明しないと理解出来ないと思います。 vMix はメインのビデオミキサー「Output」と、それ以外に最大3つのサブ的なビデオミキサーを持ちます。 サブ的なビデオミキサーは「Mix」という Input を追加することで使える様になります。 ところで、1 番は Output なので、今説明したことはサッパリ忘れて、何も考えず 1 に設定しておけば OK です。

「Title」,「Description1」,「Description2」は、後述する「Web Controller」にボタンを表示する際の設定項目です。 Web Controller を使わない場合は空欄にしておいて構いません。

「Display」も Web Controller 表示に関する設定項目で、ボタンを文字で表示するか・色で表示するか・画像で表示するか・サムネイルで表示するか、 と言った事なので、一旦 Default のままとします。

「Local Shortcut (This Preset Only)」は、この Shortcut を現在のプリセットに保存するか、それとも vMix の設定に保存するか選択する物です。 チェックした場合は、プリセットが読み込まれた時だけ Shortcut を使用でき、チェックしない場合はいつでも使用できるグローバルな Shortcut になります。 Master をミュートしたり「Fade to Black(画面を真っ黒にする。事故発生時の緊急用)」したりする物は、グローバルな Shortcut にして良いでしょう。 逆に、特定の Input に関わる Shortcut は「Local Shortcut」にしなければなりません。

最後に、「Show in Web Controller」のチェックボックスでは、Web Controller への表示をする・しないを設定します。 デフォルトでチェックが入ってますが、Web Controller については後で説明するので今はそのままにします。

OK を押して Shortcut を保存した後、 同じ手順で残り二つの Video について、F2・F3 キーへそれぞれ Shortcut を割り当ててください。

2.3. Shortcut の作成(Overlay)

次に Overlay の Shortcut を作ります。その前に vMix の Overlay について説明します。 vMix は最大 4 つの Overlay レイヤーを持っていて、1 つのレイヤーにつき任意の Input を 1 つ表示させることが出来ます。 Overlay は Input の下に並んでいる 1 ~ 4 の数字ボタンを押すことで表示出来ます。

同じく Input の重ね合わせを扱う「Multi View」との違いは、 Overlay が Output の上位レイヤーという扱いになっており、例え Output で Input がスイッチングされたとしても、 意図的に Overlay を削除しない限り表示し続ける点です。Overlay を削除するには、もう一度数字ボタンを押します。

Overlay については、別の回で詳しく解説します。

さて、今回は Shortcut を使って、Overlay を出したり引っ込めたり出来る様にします。

再び「Settings」→「Shortcuts」→「Add」で Shortcut の作成画面を開いてください。 今回は、F5 のワン・キーで Overlay 1 番に表示したり削除したりする、トグルスイッチにします。 設定は下記のとおりです。

項目設定値
Key/ControlF5
FunctionOverlay → OverlayInput1
Input4 OverlayImage
Assign Shortcut to Input Numberチェックしない
Title, Description1, Description2空欄
DisplayDefault
Local Shortcut (This Preset Only)チェックする
Show in Web Controllerチェックしたまま

「OverlayInput1」という Function が、Overlay 1 番に対するトグルスイッチになります。 トグルスイッチではなく、表示・削除を別々のキーで行いたい場合は、 「OverlayInput1In(表示)」と「OverlayInput1Out(削除)」の二つに分けて Shortcut を作成してください。 尚、「OverlayInput1Off」と言うのが有りますが、これは Transition 無しで即時削除したい場合に使用する Function です。

1つのキーに複数の Function を割り当てたい

同じ Key/Control を使う Shortcut を複数作れば、ワン・キーで複数の Function を実行する Shortcut になります。 その場合、リストのより上に有る物から順に実行されます。

3. Shortcut の使い方

Shortcut は、vMix のウインドウが前面かつアクティブな時に、割り当てたキーを押下する事で機能します。 それでは早速、F1, F2, F3 キーを押下して、3つの Video をポチポチ切り替えてみてください。 また、F5 キーを押すことで、Overlay 1番に、Overlay Image が出たり消えたりすると思います。 更に、Overlay を出したまま Video を切り替えても Overlay は消えずに表示され続けるでしょう。

以上で、本番時にマウスを使わず、3 つの Input と 1 つの Overlay をスイッチング出来るようになりました。

4. 外部コントローラーの使用

これにて、キーボード Shortcut による vMix のオペレーションが可能になり、本番に向けての仕込みは十分の様に思えます。 しかし、キーボード Shortcut は vMix のウインドウがアクティブな時のみ反応します。

また、キーボードには当然 Shortcut 以外のキーも並んでいますから、余計な操作をして事故らないか、いささか不安が残りますね。

というわけで、更なる信頼性を得るために、外部コントローラーの使用を検討しましょう。

4.1. MIDIコントローラー

MIDIとは「Musical Instrument Digital Interface」の略で、電子楽器インターフェースの業界標準規格です。 電子楽器が協調して演奏を行うためのデータ通信に用いられています。

音楽関連では標準のインタフェースなので、MIDI対応のコントローラーは数限りなく存在します。 従って、MIDIに対応していれば、お好みのコントローラーで vMix を操作できます。 カッチョイイ DJ コントローラーを使って、ノリノリで配信オペレーションするのもオツなものです。 ところで、MIDI 機器をパソコンへ接続する方法は各機器のマニュアルを参照して頂くとして、 ここでは、 筆者が所有している novation Launch Control XL MkII について例を挙げます。

MIDI コントローラーに Shortcut を割り当てるには、vMix 起動前に機器の接続とセットアップを済ませておく必要があります。 また、vMix の「Settings」→「Shortcuts」→「MIDI Settings」で、接続した MIDI コントローラーを有効にしてください。

実際に Shortcut の Key/Control に割り当てる際は、「Find...」を押してから割り当てたいキー・パッドを叩く、またはノブ・フェーダーを操作します。

試しに Launch Control XL のフェーダー 1 本に、Video 1 のボリュームを割り当ててみました。 フェーダーを上下させると、ちゃんと vMix 上でも Video 1 のフェーダーが上下します。いい感じです!

Activator について

MIDI コントローラー製品の中には、ボタンに LED が搭載されており、選択状態を表示してくれる物があります。 また、フェーダーの位置をコントロール対象と同期する為に、モーターを搭載している物もあります。

vMix にはそういった製品に対応するために「Activator」があります。 この Activator では(いちいち設定する必要があるのですが)、イベントに応じて LED 表示を行うコマンドを、MIDI コントローラーへ送信します。

Activator を設定する手順は下記の通りです。

  1. 「Settings」→「Activator」を開きます。Shortcuts と同じような画面ですが、 まず「Enable Devices」で接続した MIDI コントローラーを有効にしましょう。
  1. 「Add」→「Find...」で、対象となる MIDI コントローラーのボタン・ノブ・フェーダーを指定します。
  2. 「Event」で、検出するイベントを指定します。ここでは「Input Audio」を選択して、Audio の ON/OFF 状態を LED 点灯に反映します。
  3. 「Type」は機種毎に適合する物が変わってきますが、筆者が使用している物に適合するのは「Novation LED Button」です。
  4. その下のプルダウンメニューで、何色に発光するかを選べます。ここでは緑にしておきました。
  5. 「Local (This Preset Only)」は Shortcut にあったものと同じで、プリセットに保存するのでチェックしました。

結果は以下の様に、Audio の ON/OFF 状態が LED に反映されています。素晴らしい!

Activator の詳細についてはこちら(英語)を参照してください。

4.2. Stream Deck

Stream Deck とは、Elgato 社がリリースしている配信向け外部 USB コントローラーです。 テンキーの様な見た目のガジェットで、キートップが超小型 LCD になっており、文字だけでなく好きな画像やサムネイルを表示させることが出来る物です。

テンキーと違って、デバイスとして認識はキーボードではないのですが、標準で様々な配信アプリに対応しており、もちろん vMix にも対応しています。 vMix では、対応する Input のサムネイルプレビューをキートップに表示出来ます(もちろんアニメーションもします)。 スイッチング用途なら、個人的には下手な MIDI コントローラーよりもお勧めしたいところです。

Stream Deck には大中小の3種類あり、お勧めは「中」の Stream Deck です。コンパクトで場所も取らず持ち運びも楽で、出張配信オペレーションに活躍します。 スタジオユースなら大の Stream Deck XL を検討してみてください。

設定方法は次の通りです。

まず Stream Deck を USB で繋いで、専用のアプリ「Stream Deck」を起動します。 初期状態では、vMix 用のアドオンがインストールされてないので、 「その他のアクション...」を押して、「vMix」を「インストール・・・」してください。

次に Stream Deck アプリのトップに戻り、vMix が追加されているのを確認し、Shortcut を割り当てたいボタンに「Shortcut」をドラッグしてください。 「Shortcut」をドラッグしたボタンが vMix アイコンに変わったと思います。 「Shortcut」を割り当てないボタンは vMix 側で認識されないので、特に不都合が無いなら全てのボタンを vMix アイコンにしてしまいましょう。

次に、vMix 側で Shortcut を作成します。 手順は「2. Shortcut の設定」とほぼ同じですが、Key/Control を割り当てる際は「Find...」を押した後 Stream Deck 本体で割り当てたいボタンを押してください。 そうすることでボタンのコードが読み取られます。 プルダウンメニューには、Stream Deck のボタンがリストされないので注意してください。

また、「Display」には「Thumbnail」を選択すると幸せになれます。

最後に、Stream Deck アプリで、ボタンの「タイトル」を設定しましょう。 「タイトル」はサムネイルの上にテキストで表示されます。 デフォルトでフォントがでかいので、小さくしてテキストが収まるようにしましょう。

ここで注目すべき所は、なんと割り当てたボタンに割り当てた Input のサムネイルプレビューが表示される所です。 先程「Display」に「Thumbnail」を選択しましょうと言ったのはこの為です。

こちらで、Stream Deck 本体のボタンをポチポチ押せば、Shortcut が動作すると思います。テストを忘れずに実施しましょう。

MIDI コントローラーや、Stream Deck のような外部コントローラーを使用すれば、 vMix ウインドウがアクティブでなくとも、オペレーションすることが出来ます。

5. Web Controller

vMix はインターネットを介して Web ブラウザでコントロールすることが可能です。

Shortcut を作成するときに「Show in Web Controller」にチェックを入れていれば、Web Controller にボタンを表示できます。 この Web Controller は、vMix が内蔵する Web サーバーでホストされ、設定した port 番号に http でアクセスすることで使えます。

例: http://192.168.0.10:8088/

インターネットを介してアクセスしたい場合は、お使いのブロードバンドルーターで vMix のマシンに対して port 番号を TCP でポートフォーワーディング設定してください。 やり方は例によってマニュアルを参照するか、ネットワーク管理者に聞いてください。

設定は「Settings」→「Web Controller」にて行えます。

項目設定値
Enabledチェックを入れることで Web Controller 有効
PortWeb サーバーの port 番号
Web Site Addressアクセス URL になりますが、通常はローカルIPアドレスが表示されます。インターネット越しにはアクセスできません。インターネット越しに使う場合は、ブロードバンドルーターで vMix の PC に対してポートフォーワーディングを設定し、グローバルIPでアクセスしなければなりません。
Username,Passwordパスワード制限が掛けられます
Allows access to following pages without login下のチェックボックスにチェックを入れたページをログインなしでアクセスできるようにします。セキュリティリスクになるので有効にするのはお勧めしません。
Allow software on this computer access without loginローカル PC からアクセスする場合はログイン不要にする設定です。通常チェック有りで構いません。

Web Site Address に Web ブラウザでアクセスしてください。 あるいは http://localhost:port番号 でも OK です。

Web Controller は、複数のページで構成されています。

ページ機能
Show in Web Controller にチェックが入っているShortcut がボタンとして並びます。押すことで該当 Shortcut を起動します。
Input を直接切り替えられる簡易スイッチャーです。下に並ぶ Transition のボタンを押すことで OUTPUT と PREVIEW を該当の Transition で以て入れ替えます。
「タリーランプ」です。Input 毎に専用のページ(全面が塗りつぶされたページ)が用意されており、該当の Input がアクティブになると色が変わります。デフォルトでは PREVIEW が黄色で、OUTPUT が緑です。被写体がフレームインしていることを知る為に使います。
簡易的な Title Editorです。Title Input のテキストを書き換えたりすることが出来ます。

Shortcut の表示設定について

Shortcut を作成する際、以下の設定を行う事で、Web Controller での表示をある程度制御することが出来ます。

項目機能
TitleShortcut タイトル(一番上の行)
Description1Shortcut 詳細1(真ん中の行)
Description2Shortcut 詳細2(一番下の業)
DisplayColor: 指定した色で表示
Image: 指定した画像で表示
Thumbnail: Input のサムネイルプレビューで表示 (*)

(*) Image または Thumbnail に設定すると、Title, Description1, Description2 の設定は無視されます。


Web Controller に割り当てた Shortcut の確認

Web Controller に割り当てた Shortcut は、vMix 上でも確認できます。 vMix ウインドウ右下の「田」アイコンを押すとダイアログが開き、Web Controller に登録された全ての Shortcut がボタンとして並んでいるので、 マウスクリックする事で起動できます。

6. UNIVERSE

UNIVERSE というソフトをご存じでしょうか?筆者は知りませんでした。 外部ツールを調べていてたまたま見つけたので紹介します。

UNIVERSE はライブステージや配信の現場、ショールームシステム等に組み込まれる、「No Code 的な (*)」コントロールパネル作成ツールです。 特定のオペレーション業務に特化したコントロールパネルを、プログラマーでなくとも PowerPoint でスライドを作る様にサクッと作ることが出来るツールです。

この UNIVERSE は vMix にも対応しており、API 経由でローカルあるいはリモートからコントロールすることが出来ます。 従って、イベント毎に専用のカスタマイズがなされたコントロールパネルを、オペレーター自身の手で仕込む事が出来ます。

例えば、1 → 2 → 3 → 4 という順番にスライドを送っていくだけの配信を実施する場合、1 ~ 4 のボタンと、 次へ・前へのボタンだけが並んだコントロールパネルを作ることが出来ます。 また、タイトルのテキストを書き換える場面がある場合は、テキストを書き換える入力欄を追加できます。

ただしこのソフト、結構なお値段しますね。最大1画面・デバイス3つまでの LITE エディションが 150 ユーロ、制限がほぼない STD エディションが 750 ユーロです。 また、筆者が体験版で試してみた限り vMix の主要な機能のみに対応しており、全ての Function が使えるわけではないです。 もちろん実用上は問題ない程度の Function に対応しているので、他に制御する機器があり、ついでに vMix もコントロールしたい、 と言った場合に使うのが良いのではないでしょうか。

今回 UNIVERSE は紹介だけで、使い方の説明は割愛します!


(*) 今流行りの、プログラムを書かずにアプリを開発できるツールの事。

7. なんか気に入らないのでアプリ作っちゃう

Web Controller も UNIVERSE もイマイチ気に入らない人には、最終手段があります。

vMix は API が公開されており、Shortcut と同様の Function を Rest API 経由で実行することが出来ます。 従って、あらゆる問題は独自アプリを作ってしまえば解決します。

アプリを作るツールとしてお勧めなのは Microsoft の Visual Studio です。 ガチの開発ツールですが、RAD(*) ツールがかなり優秀なので、ボタンポチポチするだけのアプリなら速攻で作ることが出来ます。

例えば以下の様なアプリは、実際小一時間で作れます。

具体的な作り方は、もちろん長くなるので、ここでは割愛します!


(*) Rapid Application Development の略。素早くアプリを開発できるツールの事

8. 今回はここまで

以上、今回は奥深い内容だったので、長くなってしまいました。 しかし、Function のほんの一部しか紹介していないので、もっと深い世界があります。

ご覧いただいた様に、Stream Deck のような外部コントローラーと、Web Controller や UNIVERSE、あるいは API を使った専用アプリを使えば、 本番のオペレーションを、vMix ウインドウにアクセスさせない様に仕込むことが出来ます。

たまには営業っぽい事を書いておくと、弊社(有)オープンスフィアでは、配信オペレーションから、配信システムの提案、専用コントロールアプリ作成等を行っています。 お問い合わせはお気軽にコンタクトフォームからお寄せください!

次回は Trigger とオートメーションについてお話ししたいと思います。大分深いところまで行きますが、ご期待ください。

それではまた!

次回は → vMix ハンズオン【第5回】